追悼記事

 今朝の毎日新聞丸谷才一谷沢永一追悼文が載っていた。何とも微妙な文章だった。以下抜粋。
谷沢永一は親しい友人というわけではない。遠くから親愛の念を寄せていた。向こうも遙か彼方から好意を示してくれたような気がする。そういう淡くて楽しいつきあいであった。(中略)しかしそれにしてもあの溢れるほどの才能、おびただしい情熱を何と無駄なことに浪費したものだろうと惜しむ。新聞の訃報に、民族派の論客で文藝評論家でもある谷沢氏が亡くなったとあったが、前者のほうの資格の人物はわたしと縁がない。(中略)わたしが評価するのは、新聞記事のいわゆる文藝評論家としての彼、もっと正確に言えば文学の研究者としての谷沢永一である。この人物は、近代日本文学の学者にしては珍しく文学がわかる人だった。(中略)彼を論ずる以上、どうしても一言して置かなければならない悪癖が一つある。言辞が率直を極めるのはいいが、言葉づかいが猛烈にすぎて雅致に乏しかった。あれで文体に品格があればどんなによかったろうと残念でならない。」