本日の読了本

  • 『持ち重りする薔薇の花』丸谷才一(新潮社)

いやーおもしろい。このおもしろさは何だろう。ハラハラするようなドラマがあるわけでも、思わぬどんでん返しがあるわけでもないが、読んでいて楽しい。丸谷才一の小説の登場人物は会社の重役や大学教授や芸術家などで、そこら辺のふつうの人はほとんど登場しない。今回の登場人物は経団連会長まで務めた人と出版社の常務で元編集者の2人。この2人の会話と元経団連会長がするあるクワルテットにまつわる思い出話だけで進行する。が、読んでみないとこのおもしろさはわからない。丸谷才一のエッセイと同じように知的好奇心を刺激される小説であった。